2020年2月22日(土)『スター☆トゥインクルプリキュア』感謝祭プレミアム公演@中野サンプラザホール備忘録

1 はじめに

 例によって自分用の備忘録ということでメモを残しておきたい。いや本当にライブとかイベント行ったその日に一気に書いておかないと書く機会が失われてしまう(メモしておこうと思いつつメモしていないイベントが無数ある)。参加したのは東京公演・土曜夜の部。

2 朗読劇

 以下の記述について、必ずしも時系列ではないので申し訳ないです。朗読劇は最終回の例の「きらヤバ……」の映像からスタート。舞台は中野の居酒屋、15年後の女子会(「なぜ中野……」というツッコミは無しで)。完全に「令和2年の中野」。近未来の舞台を考えるだけの余裕(予算)が無いらしい。

 最終回の公式後日談ということに実質的になるのなら、あの光に包まれてひかる(と他の乗組員)が消えるということはなさそう。

 5人が頼んだお酒について。
・ひかる:梅サワー
(梅干しと星がかかっているんだと思う……。)
・ララ:カルーアミルク
(お前お前お前大学生の飲み会かお前お前お前かわいいな)
・えれな:テキーラ
(「ちゃらい」とのツッコミが入る。)
・まどか:生ビール(中)
(仕事のストレスで飲まなきゃやってられない。飲み会の注文も手慣れている。ホッケの大きさを聞いている謎のリアル……。)
・ユニ:ふぐのひれ酒
(中の人的にウォッカやないんかい。実質これ『ヤバい○○』でしょ)

 飲み会の途中、5人をナンパしようとする男達……かと思いきや、ひかるにサインをねだるだけだった。今や宇宙飛行士として著名で街頭でサインを書くだけで3時間なんてことも。ララも母星で人気らしい。

 えれなはナンパも意に介さない(中野でナンパするのはちょっと変……という感じだが)。ちなみに語学の上達という話題で「異国の恋人をつくること」が近道だと言っていた。まどかは父親からお見合いを勧められるが断った(「自分の人生は自分で決める」ということで会場から拍手)。

 えれなの通訳業について。ララの日本語の上達はAIのおかげというくだりで、えれながぶち切れ。翻訳や通訳はAIの台頭できびしい。なんなら声優もきびしいという楽屋ネタ?「私たちはハートを大事にしている(ハートを伝えてる)んだ」ということらしい。

 ひかるとララの再会の一件でまどか(とその所属部局)に迷惑がかかり、まどかはもみ消しに奔走。まどかがひかるにぶち切れ。ひかるは高倉健のモノマネで応酬(東映のロゴがモニターに映し出される)。謎の権利ギャグで言えば、ナージャネタの使い方とか、ナージャファンがあの場にいたら結構ギリギリじゃないですかね……。

 飲み会の終盤は地獄の変身合唱。これ大学OBが飲み会で応援歌とか歌い出すやつ……。しまいには吐くララ。ゲロインの貫禄……。

 おおまかに言えば上記の内容が含まれており(だいぶはしょったかもしれないが)、かなりカオスだった。いや、めちゃくちゃ感動する朗読劇を想像していたらまったくそんなことはなかった。

3 生アフレコ

 26話のパジャマパーティー。自分のことべらべらしゃべるなんてと訝しむユニは辛辣ではあるけれど、一面ではそのとおりである。とはいえ、これまでこの5人が出会う前はそれぞれがそれぞれのかたちの孤独を抱えていたことを認識し、少しじんわりしてしまった。

 アフレコではモニターの絵と同じような顔になってしまうらしく、この場面もしっとりとしていたらしい。(そして観客の我々は今日このときモニターだとやすきよさんかみかこしさんか誰か言っていたような。)

4 トーク

 オーディション蔵出し話。オーディションを受けたときは別のプリキュアも受けていたとのこと。

 成瀬さん:受けていた役はキュアソレイユ。監督によると「お姉さん成分が足りない」。歌のオーディションでは踊っていたらしく、それもまた星奈ひかる/キュアスターらしい。

 小松さん:受けていた役はキュアソレイユ。キュアソレイユの倍率の高さ……。監督によると「キュアソレイユだと強すぎる。つなわたり感、ギリギリ感でセレーネに。セレーネアローの解放感も。」

 安野さん:受けていた役はキュアセレーネ。演じ方が北大路さくら感あった。監督談をあまり覚えていないが、年長組のバランスを考えたらしい。

 小原さん:受けていた役はキュアスター。監督による「ポンコツらしさ、大人になろうとしてなりきれていない感じがキュアミルキーだった」とのこと」。この話を聞いて声を出さずに思わず(「それ!!!!!!!!!!!」)と独り言ちでしまった。

 上坂さん:受けていた役はキュアコスモのみ。マオ、ユニ、コスモといろいろな顔があるので演技の難易度が高い。ここでキュアミルキーの決めセリフをやってみることに。やはりうまい。かなり寄せている(が、一方で媚び感がすごい。言い換えればポンコツ感はあまりないのかもしれない)。

5 その他箇条書き

 :小原さんのあいさつで少し涙ぐんだ。成瀬さん共々子どもと触れ合う機会が2人は多い。劇場版のイベントで子どもの観客から「ユーマは夢を叶えたんだね」と言われ、小原さんが「今度は君が夢を叶える番だよ」(君はどんな夢を叶えるのかな?というニュアンスだったか)と返したということで号泣……。ちなみに小生、ライブパートでTwinkle Starsをやったときもふつうに泣きそうになりながらペンライトを振っていた(緑で……)。

 :プルンス役吉野さんのビデオレター。詳細は省くけれどいろいろシッチャカメッチャカだった。

 :キャラクターショー(カッパードやテンジョー、ノットレイがそれぞれセレーネ、ソレイユ、コスモに変身とか)やキャラソンライブもよかったです。キャラクターショー、技の演出などのための移動モニターの使い方とかおもしろかった。スーツアクターもなかなか大変。ライブについて、2階席だったのでスタンディングで動けないので消化不良感はあった。双眼鏡を持っていくの忘れて後悔した。

 以上、簡単な備忘録です。総評として行ってよかったです。思い出深いプリキュアの年(代?年度?)になりました(あと、コロナ禍で本当にギリギリのタイミングでの開催でしたね……)。

『マギアレコード』第7話「一緒に帰りたい」感想メモ

 言いたいことは深月フェリシアの泣き演技にもらい泣きしてしまったということに尽きる。オタクなので不憫な少女が好き……(クソデカ主語and政治的に正しくない発言)。なのでこのエントリーは終了、以下は蛇足です。

 おそらくあのくらいの年頃の時に自分はああいう唸るような泣き方をしたことがある気がする。そういう意味でもらい泣きをしてしまった部分があると思う。あのくらいの年頃、と言ったが、あの泣き方は「子ども」として泣いているのではなく(ワンワンとかワーッとか)、〈人間〉として泣いているとも思った(小生は正気です。なお半角山括弧に特に意味はありません)。

 もう少しフェリシアの内面に寄り添うならば、なぜひとりだけ「我慢」しなければならないのか、おおげさに言えば人としての尊厳が傷つけられ悔しい思いをしてきたことのあらわれだと思う。(そして、顔を突っ伏して丸まっていたのは、泣かざるを得ないなかでの最後の抵抗に見えたし(端的に言えば泣いているところを人に見られたくはないし)、家族関係から解き放たれ金銭での関係性しかもはや知ることのない彼女の心が未だ閉じていることをあらわれだと思う。)

 ただし、いろはややちよが放った「我慢」と、フェリシアが積み重ねてきた「我慢」とは、(魔女と対峙することの前提があるとはいえ)若干意味内容が異なっているように思った。いろは達にとっては知る由もない部分があるのだから、あそこでの(悪い言葉で言えば)キレ方はあの場にいた皆にとって理不尽でもあるし、彼女の幼さの象徴でもあるのだと感じた。ただ、あそこまでの感情の表出があればこそ、彼女は「自分のために」生きるということを選び取れたのではないか、という気がしている。(おそらく意図的に境遇を寄せているのだろう)杏子がフェリシアに「自分のために魔法を使う」ことを伝えたことについて、それは決して魔法に限る話でもないように思ってしまった。

 どうやら、正確に言えば、両親の死には別の原因があるとのこと(wikiで喰らうネタバレ……)だが、そのことが明るみになったとき、みかづき荘での居心地が悪くならないかどうか、すごく気になってしまった……。

 蛇足の蛇足だけど、みかづき荘は何かを失ってしまった少女が集まってしまうところなのだろうか。フェリシアにとっての両親、いろはにとってのうい、やちよと鶴乃にとってのみふゆ。多分、負の力が強いひだまりスケッチなんだと思う。

 過去に囚われているやちよ(5話とか?)のことを考えながらEDを見ると、いやあそこで描かれている感情や動きの原因もきっかけも正直わからないのだけど、あれだけの激しさの後でラストの歩道橋をシラフで歩くところなんかは、失ったものがあったとしても世界が続いていく冷たさと、それでも歩いていかないといけない強さ(「私たちの道見つけたい」)を目の当たりにしているような気持ちになる(幻覚かもしれません)。

 まどマギもハマったとは言い難いし(叛逆も見る機会を逃しました)、マギレコもゲームをやっているわけではないのでわからないことも多いですね。6話も踏まえるといろはとフェリシアの実質デート(広義)回とか、神浜市でのフェリシアの位置づけとか、色々あるとは思うのですが。それでは~。

(追記:2020/11/14)フェリシアの泣き演技について、たまたま見ていた『無限の住人』の凛の泣き演技とも通じるところがあるように思った。

『映画 スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』感想メモ

 

1 はじめに

 近況というか、2019年10月~12月クールはこれまで以上にアニメを見る気力体力がなかった。今は多少一息ついたと思う。めちゃくちゃ多忙というわけではないので、リステージのライブとか、プリパラ/プリチャンのライブに行く程度の余裕はあった。プリキュア関連で感想メモをいくつかメモするだけしていたは良いが、多分これ以上いろいろ見返して考え直して書き直して……というサイクルは取れなさそうなので、最低限の文にはしてアップロードしておきたい。

2 沖縄の意味をめぐって

 映画の舞台のひとつは沖縄だった。なぜ沖縄だったのか?話作りをする上でのいろいろな理由があるのだろう。その理由を知る由はない。「せっかくの映画だからロケ的なことをしたい」「修学旅行と言えば沖縄だろう」というノリが無いとは言えないと思う。(そもそも論として、実在の都市をわざわざ出すことの効果は、プリキュアをより身近に感じさせることに求められると思う。)

 他の土地がそうでない、と言うつもりは無いが、相対的に見て沖縄は日本という国・社会・空間とのかかわりのなかで、様々な民族が交差してきた土地であることは間違いない。意図しているとは思っていないが、同作品が「多様性」をキーコンセプトにおいているのならば、沖縄を舞台に選んだ意味は実は思ったよりも重たいものになっているだろう。

3 ひかるとララについて

 ひかるとララがこれから先も離れずに暮らすことを考えてみる。彼女たちがパートナーシップを結び、子どもを育てたいと考えたならば、どうなるだろうか(あくまでも、ありそうにない仮の話として)。2人の子どもが「人間」あるいは「地球人」であることにこだわる必然性は実のところない。また「子どもを育てる」という言い方も、決して正しい言い方ではないと思う。共に生きるなかで、生まれてきた命が可能性にあふれたなにものかになる手助けをしていくことが重要なのだと思っている。(だから、2人である必要も実は無いのかもしれない。)

4 羽衣ララという少女の生き方について

 羽衣ララという少女の生き方について、映画のなかではあまりに不器用であり、あまりに少女的に見えた。少女的というのは、星奈ひかるの方がよっぽど物分かりが良く見えたことの対比としてそうだった、ということ。「大人」ぶろうとしているがなんやかんや言って等身大の年相応の少女であることには間違いないと思う。(一方で、ユーマと関わるなかで、異星人として暮らすことのつらさや厳しさをわきまえてもいる。)

5 最後に

 一般的な話になってしまうが、どの映画(映画に限らず様々な作品)もそうだと思うけれど、映画それだけで終わりではない。娯楽作品としての映画には終わりはある。しかし、作品は我々の生き方を(良かれ悪しかれ多少は)方向づけ、導いていく(率直に言えば、自分は作品の影響力をどこか過度に見積もっている)。もう少し開いて言うのであれば、人の生きる道は作品の後にも続いていく。子どもたちがはじめて見る映画として本作品が位置づけられているのであればなおさら、作品が彼らに託す希望と未来の大きさ、そして輝きに思いを馳せてしまう。キラやば~。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第37話「UMAで優勝!ハロウィン仮装コンテスト☆」感想メモ

 久しぶりのブログ更新です。いろいろてんやわんやで過ごしています……。スター☆トゥインクルプリキュア、残り約1クールとなり、物語がそろそろ佳境に入りそうですね。37話を見て思ったことをメモしておきたいと思います。

 全体として、ハロウィンにおける仮装イベントに焦点が当たっている。ハロウィンのお盆としての側面は捨象されている。(このあたりは、ハロウィンと死者の日との関係や、各国の固有の伝統を細かくみるべきでしょうが、省略。メキシコの死者の日を背景とした映画としては、リメンバー・ミーがありますね。)

 ということで、今回はご先祖と向き合う時間(あるいは先祖を通して自分たちの来し方行く末を考える時間)ではない(収穫を喜ぶ時間でもない)。その代わりに、仮装を通して自分やあるいは積み重ねてきた人間関係と向き合う時間だったように思います。

 典型的なのは、ユニにとってのこのイベントは本来の自分の姿に戻れるおそらく貴重な時間であるということ(話のなかではギャグとして機能してはいるが)。 

 ララにとっては、非合理的かもしれないが、自分で情報を集めて、自分で決めること、自分から「やりたい」という気持ちを示す機会であったということ。

 ひかるにとっては、自分の専門知識を生かしてクラスのみんなと楽しい思い出を作ることができた。えれなにとっては、家族の絆を示し、また強くすることができた。

 みんなでイベントに参加するということのなかに、実はそれぞれ各個人にとってのハロウィンのあり方が垣間見える。(まどかは正直よくわからないが、堅苦しい家の反動で隠れてコスプレイヤーになってほしい(?))

先週の予告を見た限りはトンチキ回かと思いましたが、これまで積み重ねてきた人間関係、人間模様を大事にし、その到達点を示したという点で結構重要な回だったのかなと思います。

 もうひとつ重要だったのは、カッパードの過去がある程度明らかにされたこと。豊かな水資源を持つ惑星の出自であるが、水資源は異星人により収奪され、故郷がおそらく失われてしまったように見えます。また、ノットレイダーとしてではなく、故郷を追われた者としての望郷の念を観星町に見出しているようにも見えました。カッパードの捨てセリフからすると、今後はプリキュアのなかでの「裏切り」というのもあるのでしょうか(これ、単純に異星人同士わかりあえないよね、という話ですね、すみません)

 特にオチはありませんが、それでは~。プルユニを推していこうかな…。

『アイカツスターズ!』63話「ツンドラから吹く熱い風」感想メモ

 どうにも寝付きが悪く、なんとなく流していたアイカツスターズ!63話の感想をメモしておきたいと思います。

 トラブル続きの高原ツアー回ということでしたが、「これは炎上ものだな ……」という感想がいの一番に出てきました。ツアー企画者のクビとばないのかなこれ……。トンチキ回に対してこういう野暮なつっこみをするのはおそらく良いことではないと感じつつどうしても言及せざるを得ない悔しいビクンビクン。荒野の奇跡というか、高原の奇跡というべきか。

 ああいうツアーの時って電車を使うものなんですかね。バスを貸し切ったりしないのだろうか。バスで行けない場所に高原がある、ということかもしれませんが。また、(必然性はともかく)あこに職業体験で一日駅長をやらせるという都合もあり、絡めやすかったとか、あるんでしょうか。あこが実質鉄ちゃんになっていて笑いました。

 弁当の手配の騒動は穏便に済んでよかったですね。だいぶ昔にあった、某アイドルのバスツアーで出されたバーベキューか何かの食材の内容がひどかったという事件というかハプニングを思い出しました。

 停電で動けなくなってから参加者を空輸することになるわけですが、悪天候のなかゆめの天気予報を信じて突き進む決断を下すリリィは後で怒られませんかね……命にかかわることでもあるので、ヒヤヒヤしてしまいました。ファンをやるのも命がけ。

 なんというか、自分がやりたいこと/自分が現状できることをうまくバランスとりながらやることの難しさを感じてしまいますね。やりたいこと(今回の企画)については周囲の助けを借りながらでもなんとか達成できたことにはなるのですが。達成できたとしてもファンからそっぽを向かれたらどうしようもないといえばどうしようもないので(これはファンのエゴかもしれませんが)ファンのあたたかな光が救いと言えば救いなのかなあ。

 なんかいつもに増してしょうもないことしか書いてませんね……すみません。ゆずリリは良いぞ(オチ)。

(余談)
謎の夢のシーンがありましたが、SSSS.GRIDMANが放送された後で見返すと、オロスコピオサウルスもリリィ=アカネくんが作り出した何かじゃないですか実質これ、という気持ちになりました。(そして真昼=六花がオロスコピオサウルスを倒す側という。)見ていて一番言いたかったのこれかもしれない。あとこの夢から目覚めるくだりのリリィの作画の力の入り具合がよかったです。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第13話「ララのドキドキ初登校☆」感想メモ

 とにかく新しい仕事に慣れることに必死で、4月はあまりアニメを見ることができなかった。さすがにこの10連休はゆっくりできたし、少しはアニメを見ることができた。ブログの存在はすっかり忘れていた。

 で、『スター☆トゥインクルプリキュア』第13話「ララのドキドキ初登校☆」だけども、とにかくこの回は、学校生活に馴染もうと(AIの力を借りながら)努力するララの姿が物悲しかった。あんなに気を張って自分を隠して作り笑いで過ごすような学校生活の描写は、地味にショックだった。(描かないでほしい、というわけではもちろんないし、この程度で「ショックだった」とのたまうようであれば、自分にはまさしく他者への想像力が欠けた学校生活を送っていたのだな、と言う他ない。)

 AIの力を借りなくても、周囲ができる範囲で配慮していくことが理想と言えば理想なんだけど……(理想を語っても仕方はないが、別の文脈ではあるけれど、教育現場でのいわゆる合理的配慮は広がりつつあるらしい。その中身や理念の正確な理解についてはさておき)。

 そして、「ルンちゃん」呼びをされているラストを見て、果たしてこれは本当に受け入れられたのかと訝しく思ってしまった。もちろん、これが対等にクラスメートと関係を取り結ぶ第一歩だとしても……。

 ふとここで、少なくとも自分の目から見て、羽衣ララが「魅力的」に「かわいく」映るのは、彼女の容姿や声、仕草など、外から見聞きして知覚できる要素、あるいはその集合によるからだ、とは思えないことに気がついた。

 彼女が異星人だからだというのが一番大きい理由なのではないか、という気がしている。寄る辺なき異星人、AIという補助器具の力を借りなければおそらく二桁の計算もままならない、地球での(視聴者が知っている世界での)生活が難しくなる子に、ある種の「憐れみ」を抱いていることを自覚せざるを得ない。

 結局その憐れみは、異世界に転生して無双する(ネタとしての)フォーマットの裏返しみたいなものなのではないか。

 ゴールデンウィークの終盤に、自分のイマジネーションを縛る愚かしさの枷をまじまじと眺めることになってしまったルン。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第6話「闇のイマジネーション!? ダークペン出現!」感想メモ

 繁忙期でアニメが溜まっていく一方です……。もうダメかもしれない。『スター☆トゥインクルプリキュア』の第6話を見ました。以下、つらつらと思ったことをメモしていきます。

 4人は知り合って間もない中でどう戦っていくのか。ひとつの方向性が示された回であったように思いました。空見遼太郎(以下、そらじい)から、星座のつながりに人間関係におけるつながりをなぞらえた話をされていた場面は非常に象徴的だったと思います。

 第二に、ララやフワやプルンスといった地球外存在の秘密を隠し通すという共犯関係が無理やりつくりあげる関係がありそうだと感じました。これはセリフで明示されているわけではないと思いますが、そらじいにフワが見つかりそうになったときに、咄嗟にえれなとまどかがフォローに入った場面を見てそう感じたわけです。

 なお、「秘密を隠し通す」だけでなく、その秘密を隠し通すことが父親への背信になってしまう(しかし嘘をついてでも守るべきものがある)というのが香久矢まどかに課せられた業でありそうですね。これは5話を参照。

 香久矢冬貴(まどか父)は宇宙政策関連の政府高官であり、話の本筋に何らかの形で関わってくるとは思うのですが(設定を生かしきれない限りは……)、そのように考えたときに、メインの4人の中で一番なし崩し的に関与しているのがえれなのような気がします。その意味で掘り下げに期待。

 そらじいのフォローの話に戻ると、ララはサマーンでは成人であるとは言え、極限状況でララ自身の力ではどうにもならないこと、ひかるのフォローではうまくいかないことがあることを考えたときに、身近な年長者のフォローが重要になってくるように思いました。そらじいの言葉を受けて素直に協力をお願いするララですが、どのみちそうせざるを得ないのがつらいところでもありますね。

 3話でひかるとララの距離が縮まったと思ったんですが、まだ一筋縄ではいかないところがあるな~とも感じました。若干脱線ですが、「効率的だから」名前呼びをしているララなのですが、名前呼びに別の意味(親密さの証)が付与され、それをララ自身が自覚する回とかがあったら良いな~と思いました。

以下、その他。
プラネタリウムや大量の宇宙関連の書籍を見てアナログオヨ~と感じたりはしなかったのでしょうか。もう地球の文化水準は把握してしまったので、特に驚くべきことでもない、という感じでしょうか。
:来週はロケット修理回。予告でガチで修理のための材料を調達していて笑いました。何気にいわゆるリケジョ(理系女子)とか、そういう存在に対する感覚を取り入れているんでしょうか。まあ過去シリーズでもほのかが科学部とか、そういうのはあったはずですが。「プリキュアを見て将来ロケットに乗ろう/ロケットをつくろうと思いました」って子が出てくると良いですね(良いのか?)
:OPEDは映画『プリキュアラクルユニバース』仕様でした。映画公開にあわせて4人結成までを描かなければいけなさそうなので、関係をつくっていくのが割と突貫工事だなあと感じないわけではない……。

「フライングドッグ10周年記念LIVE―犬フェス!―」に行ってきた記録

はじめに

つい先々週のことになりますが、「フライングドッグ10周年記念LIVE―犬フェス!―」に行ってきました。
どのアーティスト、グループの歌唱やパフォーマンス、すばらしかったです。いや本当に行ってよかった……。
以下、思い出せる範囲で記録を残しておこうと思います。記述に濃淡がありますが、お許しください。
なお、当日は出演予定だった菅野よう子さんがインフルエンザのためご欠席でした。

 

開演前

飛田給駅からは混むだろうことを見越して、西武多摩川線多磨駅から歩いて会場まで行きました。地味に遠くて少し後悔しました……。
・ビクター時代~FlyingDog時代に製作されたアニメ作品のOPED映像がスクリーンで映し出されていました。さすがに80年代からとなると知らない作品も多いですね……(勉強不足ですみません)。
・『メガゾーン23』が非常に印象に残っています(特にED「淋しくて眠れない」をバックに渋谷駅周辺の遠景を徐々に大きく映し出していく箇所)。あとは『ベターマン』のOPなんかも。

 

セットリスト

 

・最初のプレゼンターは田中公平御大。ビクター音楽産業時代の話を振り返っていました。サクラ大戦の音楽は実はビクターのディレクションが関与していたそうです。
・田中御大が仕事をし始めたとき、(佐々木さんからかどうか忘れましたが)一両日中に数十曲つくってこいという無茶苦茶なオーダーがあり、それをこなしたことが後のキャリアにつながっているという話もあったように思います。
・会場のボルテージを上げるにはもってこいの曲でした。発声練習になりましたね(「ガ」が多いので…)。伴奏のピアノは田中御大。2番の歌唱もこなしていました。

 

 

・May'nさん、ダイアモンドクレバスを歌う際、菅野よう子が自分を見出してくれたことに大きな感謝を表していました。
・ナノさんかっこよかったですね…。「ケムリクサの歌は歌いません(笑)」会場「ええ~(笑)」というやりとりがあり面白かったです。
・salva nos、実は知らない曲でした。笠原さんの歌唱は圧巻でした。

 

 

河森正治監督が二人目のプレゼンターでした。ここでもビクター時代からの関わりを強調されていました。マクロスの頃は大学生だったとのことです(有名な話だと思います)。アニメ作品にアイドルがいないのはなぜかというシンプルな問いが最初にあったが、やってみて誰もやらなかった理由がよくわかった(さらに、歌唱と戦闘をあわせて二重に大変だった)、という旨のことを話していました。
・(マクロスプラスシャロン・アップルを引き合いに出しながらだったと思いますが)河森監督「バーチャルアイドルを応援するイカれた時代がやってきてしまった(笑)」
・河森監督プレゼンの後で、マクロスプラスの主題歌VOICESが歌われました。
・新居さんコメント「菅野よう子さんも地球人だとわかった(笑)」

 

 

・「アリカ様~!」の歓声がよく聞こえてきました。
・2曲ともティーンエイジャーの頃に聴いてた曲で、やはりいろいろ感慨深いものを感じます。
・今公開している『コードギアス 復活のルルーシュ』の挿入歌も担当されているそうです。

 

 

・「土曜日ということで…」サタデー・ナイト・クエスチョンが歌われました。こうしてみると、星間飛行から同曲までの約10年の道のりというのが凝縮されているようにも感じます。ちょうど先月、プリキュア15周年ライブにも行ってきたのですが、そこでの「ドデカ・ラブ」が良くて、またこの前出たカバーミニアルバムのティザーを聴く限りだと、やっぱりベースはアイドルなのかな~と思ったりします。他方で、「サタデー~」は曲調だったり歌い方だったり、実はネト充のススメで聴いたときにはまめぐだと気づかなかったくらいで、そういう意味でも幅が広いな~とも感じました。

 

 

・DJ TIMEの最後の曲はTridentのBlue Snowだったのですが、「これはDJ TIMEからシームレスにシークレットでTrident出演で膝から崩れ落ちるやつか…?」と少し身構えました。(杞憂に終わりましたが。)

 

 

・実はマクロス7は未履修で…すみません!
・創生のアクエリオンの頃は14歳で~というコメントにはやはり驚愕してしまいましたね。
・bless4の面々は非常に盛り上げ上手でした。比較的前方で鑑賞していたので、誘導されるとドギマギしてしまいました(笑)
・これはどうでもいい話ですが、FlyingDogの発音がめちゃくちゃ流暢でした。

 

 

・石川さん「アンイストール当時はニコ動で歌ってみたが流行ってましたが、『石川智晶が犬フェスで歌ってみた』ですね」とのコメント。

 

  • 23 あんなに一緒だったのに See-Saw
  • 24 ブルー・フィールド Trident

 

・山ちゃん(山寺宏一)のプレゼンを挟んで、個人的にはこの二曲は本当に「ぼくのかんがえたさいきょうのフライングドッグ」を端的に表わしていたように思います。See-Sawは状況証拠的に「来るぞ…」と予想していた人は多いのだろうと思いますが、Tridentは「ワンチャンあったら良いな~」という気持ちでおりました。知人に連れられ約3年前の幕張での解散ライブに行ったあの日が懐かしい。曲はぼちぼち聴いていたのですが特にライブに行くこともなく、そうこうしている内に解散してしまうことになったわけで、初ライブ参戦が解散ライブだったということを帰宅してから思い返すなかで、「もしかしてライブとかイベントって行けるうちに行っておかないと後悔するのでは?」と(安直ですが)思うようになった…Tridentはそんなきっかけを作ってくれたグループでもあります。

 

・山ちゃんのプレゼンですが、以下覚えていることを箇条書きです。
:離婚したことへの自虐
:「若手の追い上げが厳しいから仕事をください。忘れ去られたくない。」
:やはりビクター時代から振り返っていました。「本当に私がプレゼンターで良いんですか?と担当者に返事したら、これ見よがしに出演作リストを見せられました」
:ビクター時代から関わっていた作品のキャラクターのセリフを一言ずつ再演。セリフがあいまいなものは名乗りだけというご愛嬌。
:最後にカウボーイビバップの「Tank!」を、FlyingDogの犬の鳴き真似で歌唱というサービス。ただのチーズでした(笑)

 

 

西田望見さんのFlyingDogでのソロデビュー発表おめでとうございます。ざっくり言うと「そんな私たちもそれぞれFlyingDogさんでお世話になって…って今のぞみるデビューしてない…って笑ったお客さんもいますが、ここで重大発表があります!」「おおぉ~~~!!」みたいな会場でのやりとりがあった気がします。

 

 

菅野よう子さん励ましの大合唱。プラチナのサビに合わせて、「菅野よう子~ふざけんなよ~」「菅野よう子~お大事にね~」の謎の一体感。いろんな意味でトリにふさわしい一曲でした。

 

終了後

・終了後、パンフレットを買ってそそくさと退散しました。飛田給側は混んでいるかなと思い、やはり多磨駅まで歩いて戻ることにしました。この近辺にしばらく住んでいたこともあり、少し感傷にひたっていました。(とはいえ、約4時間のライブの後に寒空の下30分歩いて駅まで戻るのは割と厳しかったです。現実に戻る時間。)
・ライブが終わってから数日は放心状態だったと言っても過言じゃないと思います。ライブなどに参加して明日への糧にできる人もいるとは思うのですが、自分はエネルギーを吸い取られるタイプだなと思いました。なんというか、「アーティストが頑張っている、自分も頑張ろう」ではなく、「アーティストが頑張っている、ならば自分はもう頑張らなくていいかな」という謎の論理が働いてしばらく何もする気にならなかったんですよね。(「アーティストが頑張っている、自分も頑張ろう」もどういうロジックなんだろう、という気がしますが。)
・犬フェス2が2019年の秋に開催されることが発表されました。こちらも楽しみです。……が、ビクターからの流れを汲むFlyingDog黎明期を支えたアーティストたちが(ある程度まんべんなく)一堂に会する場というのはおそらく滅多にないことで、その意味で今回の機会は本当に貴重だったと思います(と考えるなら、菅野よう子さんの欠席はやはり画竜点睛を欠くという感じですね。お大事にね~)。
・少なからず自分の青春時代~青年時代の生活のなかに商業音楽(とアニメ)が鎮座ましましている(もちろん勉強不足な点はありますが、それは置いておいて)。その存在感を考えたとき、今後数年間のなかで振り返ってみたときに間違いなくハイライトのひとつになるのだろうと思います。「フェス」の最終的な効能は自分の断片的な思い出たちとの一人同窓会を楽しむことだったのか、という気にもなりますね。同じことをランティス祭りのときにも言っている気がします(オチ)。

 

『アイカツフレンズ!』新OPEDテーマリリースイベント『一歩一歩ちゃんと前へ』に行ってきました

はじめに

 はい、というわけでBEST FRIENDS!のリリースイベント(無銭):『アイカツフレンズ!』新OPEDテーマ「そこにしかないもの/プライド」リリースイベント『一歩一歩ちゃんと前へ』に行ってきました。自分用の備忘録です。

 天気の良い祝日に……いや天気の良い祝日だからこそ、イベント行脚することに意義があるわけですね。うぅ。家族連れの姿を見ながら少し切なくなりました。

 10時30分頃に到着し、1Fのステージを目指すも、すでに混み合っており(予想はしてましたが)、2Fの歩道へ向かいます。

 視認できないよりはよっぽどマシでしたが、やはり顔まではよく見えない。双眼鏡を持ってくるのを忘れてしまったので、何やってんだか、という感じです。ピカピカオタク棒禁止イベントなので、手が空いている分集中して観覧できそうなものなのに。

 確か11時頃まではリハーサルをステージ上でやっていたので、結果的に同じセットリストを2回聴くこととなりました。一粒で二度おいしい的な。

 リハーサル中、演者の中には(誰か忘れましたが)寒いので上に一枚防寒用のジャンパーか何かを着用して歌っている方もいました。(衣装バレ防止かもしれません。)ご苦労様です……。

 開演するまでは立ちっぱなしでスマホをいじるくらいしか特にやることがありませんでした。折りたたみイスを持って来ていた人もいました。あとは隣の方の会話を盗み聞きし(本当にごめんなさい)、「にーそっくすす」「ひゃん」「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」などの単語が出てくる度に大粒の涙を流していました。

・双眼鏡
・折りたたみイス
・暇つぶしグッズ

は常備しておいた方が良いのかな、と思いました。いやそこまでする必要あるのか……。

 ちなみに、前の人はiPadで今流行の?『将太の寿司』を読んでいました……(目に入ってしまい…すみません。)。

イベント本番

以下、セットリストです。

  1. そこにしかないもの(ピュアパレ、ハニキャの4人)(full)
  2. 偶然、必然。(short)
  3. 導かれて(short)
  4. 絆~シンクロハーモニー~(short)
  5. 6cm上の景色(short)
  6. Girls be ambitious! (short)
  7. おけまる(short)
  8. みつけようよ♪ (short)
  9. ありがと⇄大丈夫(あいね)(short)
  10. みんなみんな!(short)
  11. アイカツフレンズ!(全員)(full)

 「そこにしかないもの」を歌い終えてから自己紹介MCでした。ラクーアという立地の都合上、ジェットコースターが定期的に轟音とともにステージ上を巡ってしまいます。そのため、特に木戸さんの自己紹介パートに入る際にコースター音が重なってしまい、タイミングを取りづらそうにしていました。

 「偶然、必然。」が終わってすぐに「導かれて」が始まり、陶山さんがイントロに被せてステージ右から出てくるところは若干ミュージックビデオのはじまりのようでしたね。建物というか舞台の雰囲気は全然違いますが…。

 「導かれて」の生歌は思ったよりも声量がある、というかなんて表現すれば良いのか、MVやアニメ本編で聴いたときよりも重みがあるな~力強いな~と思いました。堂々としたマイクパフォーマンスだったのだと思います。

 みお(木戸さん)、舞花(美山さん)、エマ(二ノ宮さん)、あいね(松永さん)の4人は新衣装のお披露目で歓声があがっていました。

 木戸さんの衣装コメントで印象的だったのが、「現実にこんな靴無い~」のくだりでした。(松永さんの衣装のスカートを指しながら「生クリームみた~い」って言ってたのはぼくの幻聴でしょうか。幻聴のような気がしてきました。)

 最後の「アイカツフレンズ!」では、曲の2番が終わってからだと思いますが、6人がキッズエリアに降りて、子ども達とふれあっていました。キャッキャとふれあい過ぎて、曲の終わりにステージに戻れなくなるというハプニングもあり、思わず笑ってしまいました。

最後に

・「一歩一歩ちゃんと前へ」というイベント名があらわすように、それぞれの成長が感じられてよかったです、と書けばエントリーとしてはオチになるような気がしますが、成長具合って何で計れば良いんでしょうか……。少なくとも、ステージを見ながら自分の身内(非実在)を応援している気持ちにはなりました。あれれおかしいなこのドキドキは~。

・ラブミーティアの二人がいないのはちょっぴり残念でした。大橋さんはソロ名義のリリイベがあるようです。

・振りコピとかできるように練習した方が良いんですかね。悩ましい(どんくさいので)。

 

・イベント終了後の物販でCDを買い、ブロマイドをもらいました。イラスト入り。

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『若おかみは小学生!』(2018年)感想(メモ)

はじめに

 こんにちは。島田です。今更ですが、『若おかみは小学生!』を観てきました。
 以下、雑感です。(あっさり導入。)

事故のトラウマと向き合う

 アバンで高速道路での交通事故が描かれている。この事故でおっこは父母を亡くす。

 事故のトラウマは、グローリー・水領とのドライブの際、おっこの過呼吸という形であらわれる。

 また、事故の加害者(彼もまた巻き添えといえば巻き添えなのだが)が春の屋に宿泊してしまった(「してしまった」という言い方は変かもしれないが……)ことも、彼女の精神に大きな揺さぶりをかけることになる。

 パンフレットの監督のインタビューによれば、事故の描写は生々しくしないようにしたとある。

一方で事故については、さまざまなエピソードをひとつにまとめる時に「両親の死」という要素をはっきり描いておかないと難しいなと思ったのです。ただ、小さいお子さんも観るであろう作品なので、あまり生々しすぎないようにはしたいと思って、現在のような形にしました。 (『若おかみは小学生!』パンフレットより引用。ページ数不明)

 

 とはいえ、事故の「その後」について、あのような形で過呼吸や錯乱を描くことについては一種の「生々しさ」を感じてしまう。

 事故は一瞬、死ぬときは一瞬かもしれない(これは過言だとは思うが)。他方、「その後」とは自分が死ぬまで付き合わなければならない。

 もしかしたら、「その後」とうまく付き合い続けるために、様々な人との出会いが彼女に用意されたことについては、それはひとつの救いなのではないか。そういう気もしている。

 というのも、彼女が女将業なり、勉学なりに精を出す一方で、事故の記憶や体験を封じ込めてしまい、そのトラウマと向き合えないまま成人になり、成人してから歪な形で向き合うことになったら……その過程で過度な薬物や飲酒に溺れてしまったら……などとよくないことを考えてしまうから。(妄想がすぎる上に、専門的なことは知らないので、無責任なことを考えるのはよくないのだけど。)

 もちろん、(概して憐憫の伴う)親身なサポートは、おっこにとって負担でさえある。急激な環境の変化と女将修行(児童労働)は、むしろ彼女の感情の発露を抑圧しさえする。だから、上で書いた救いは完全なものでは決してない。

 神田あかねはもうひとりのおっこである。神田あかねのふてぶてしさのひとさじだけでも良い、おっこに分けてくれたなら……。

 (なお、割とあっさりと神田あかねは元気づけられてしまったようにも見えてしまった。それはさておき。)誰がおっこを励ますのか?他人を常に励ます存在は、誰に励まされるのか?それは「未来のおっこ」であるところのグローリー水領なのだろう。

 

神田あかねはおっこと同い年で、「現在のおっこ」と同じ悩みの中にいるキャラクターです。2番めのお客さんの占い師、グローリー・水領は「未来のおっこ」です。彼女が人のために占うように、おっこは人のためにおもてなしをしている。(『若おかみは小学生!』パンフレットより引用。ページ数不明)

 

 人をもてなす仕事の定め、大げさに言えば宿業に身を任せている者が、(同業者以外で)わかりあえる存在。(グロおこ推し。)

 木瀬家族の一件で結局のところ助けられたのはグローリーの胸騒ぎのおかげであって……(スルーされてしまったウリ坊(仕方ないとはいえ)泣)

加害者・被害者を乗り越えて


 3番目のお客さん、木瀬(父)は端的に言えばおっこにとっての加害者である。(厳密に言えば彼もまた事故に巻き込まれ、臓器をひとつ(腎臓?)摘出したうえ、これまで通りの食生活は送れなくなっている。)なんでも受け入れる湯治の場において、被害者は加害者を赦すことはできるのか。

 ピンフリに対する意地よりも客の喜びを優先するという(子供にとっての大きな)決断と謝罪をさせ、若女将としての自覚を描いたうえで、その自覚を根本から揺るがすようなひとつの試練。

 被害者という立場、肉親を奪われたという立場を超えて、あくまでもなんでも受け入れる場だからこそ、そして若女将という立場だからこそ、存在を受け入れることができた場面であった(「赦す」ことができた、と言えるかどうかはわからない)。

 峰子が言ったように「普通」という曖昧な基準で客を測ることはできない。その客引きの悪さは鈴鬼の力によるところも大きいだろう。それにしても、いくらなんでも……という思いがした。

 実在しない存在との戯れがおわりを迎えるその瞬間のために、喪の仕事を成就させるために、乗り越えなければならない最後の壁。

 ウリ坊、美陽、鈴鬼の3人とのやりとりが、肉親とのもうあり得ない会話と並行している。夢か現かわからない。まるで1年前に神楽を見た瞬間から、夢の中にいたような……。夢から抜け出すその最後、物語のラストは神楽の場面である。この別れの儀式については割とあっさりとしていたというか、立つ鳥跡を濁さずというか、できるだけ湿っぽくないかたちで描かれていた。

 なんといったら良いのか、彼女はあの神楽の場面で本当に温泉街の共同体に組み込まれてしまったのだなあという気もした。クラスメイトは温泉街の他の旅館なり和菓子屋なりで、引っ越して早々にピンフリをいてこまし一目置かれ、神楽の踊り手にも選ばれ……というある意味では共同体のなかでの出世ルートを歩んでいるようにも思えてならない。悠久の伝統に自らが連なることで、もう「赦す/赦さない」という次元を超越してしまった人格、存在になってしまったのではないか、と穿ってしまった。

 なお、木瀬一家は監督によれば「過去のおっこ」であり、やはりあり得たはずのおっこの人生というものを考えるとつらくなってしまう。

 

その他

 角川シネマ新宿で見て来たんですが、5Fでリゼロ展やってました。モエーモエー。

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