『アイカツフレンズ!』第21話「広がるハーモニー♪」感想(メモ)

はじめに

 オープンキャンパス(とプロダクション探し)のために上京したぼっちご当地アイドルがOC中に拗ねてしまったけど「フレンズ」の素晴らしさに気付くことができましたメデタシメデタシという回(雑)。

 夏休み終盤、もしくはもう二学期が始まった子どもたちのなかに、友達づくりで苦労している子がいるとしたら、ちょっと酷な話でもあるかな、と思ったところはある。(もちろん、勇気をもらった子もいるだろう。)おじさんは「うう~~~涼香ちゃん……最近丸くなったみおの代わりにおじさんと傷を舐めあってくれ……」みたいなお気持ちになった。

 新キャラクターがたくさんでてきた回でもあった。ざっくりとまとめると、 新海リンナ、真波マリンの二人はベイビーパイレーツというフレンズを組んでいる。強い。能登かがみは石川県出身。OC中に勝手に抜け出してメイク道具を触ろうとしてケン・マユズミにお叱りを食らいかけたが、ケンの弟子となる。メイク好き。伊勢涼香は三重出身。詳細は後述。湊玲子はみお母、デザイナー。

 海老原なこ(名古屋=海老)、能登かがみ(石川=能登半島。あと鏡餅が独特?)、伊勢涼香( 三重=伊勢神宮とか。あと鈴鹿サーキット。)という感じでご当地ゲストキャラの名字の識別ができる ようになっている。今回は主に伊勢涼香についてまとめたい。

伊勢涼香、ご当地アイドルではあるけれど……

 伊勢涼香はどうやら地元に友達がいないらしい。「ご当地アイドル」と名乗ってはいるが、上京してプロダクションを探しに来ており、(島田の目からは)上昇志向、中央志向が強そうなタイプに見える。

 さて、OCの出し物としてラブミーティア、ハニーキャットらによるスイカ割りが行われ、スイカがめちゃくちゃにされていくなかで涼香は「フレンズ」の極意を否応なしに注入されていく。(なんだこのセミナーは……。)頑なだった涼香だが、あいねとの共同作業では笑顔で終わっているので、まあ満更でもないのだろう。とはいえ一転して体育館を抜け出して林の中へ。

 今回のあいねは涼香に対する心理的な距離の詰め方が本当に下手くそだったと思う。仕方ないといえば仕方ないのか……。その点、みおは自分の経験を下敷きにして、涼香と対話することが出来ている。涼香に話しかける場面でも、きちんと(まずは物理的に)距離をとっている。頑なな涼香の心を開けるにあたって、押してもダメなら引いてみな、という……(たぶん違う)。

 ケンさんとたまきさんが、みおは変わったと言うとおり、ひとりで過ごしていた頃のみおはもういない。ひとりで過ごすこと、「ひとりの方が楽」というある意味での「正しさ」を理解はしているが*1、それでもみおは「出会いは人を変えるのよ」という言葉を彼女に伝えたかった。

 出会いが人を変えるというのはおそらくこのシリーズのメッセージのひとつだと思う。2クール目もそろそろ佳境に差し掛かり、白百合姉妹の話も動き出しそうななかで、改めてこのシリーズで何をしたいのかを示す話であったのかなと思う。ある意味では映像ではなくメッセージを通しての総集編でもあったのだろうか。

 さらには、涼香をこのシリーズの世界(観)に迷い込んだ人と想定するならば、涼香はこの回で作品をナビゲートする役割を背負わされていたのだ、とも考えた。

 さて、三重からはるばるやって来た涼香は戻ってから最高のフレンズを組んで見せるとピュアパレットの二人に約束をする。彼女の自己規定は「ご当地アイドル」で「地元に友達がいない」というなんともチグハグなものだったのだけど、これでこれから先の彼女にとっての地元、そして「ご当地」が意味を成すものになるのだろう。(ご当地アイドルなのに地元に友達がいない、というのは矛盾した話ではないのだけど、プロダクションを探していたという発言を見るに、地元から抜け出したかったふしもありそうな。)

 うまく言葉にすることはできないのだけど、みおとあいねが住んでいる生活圏のことを考えたとき、みおにとっての「地元」はあいねと出会うまでなかったのではないか、という気がしている*2。ただ生活をするだけの場・空間が「地元」となるためには、つまらない話で恐縮だけど、ある程度そこで同じように生活をしている人との関係がなければ成り立たないのではないか。「地元」というのは結構あやふやで、人と人が織りなす関係と意味の世界なのかな、と妄想している。「空」が単にあるのと、「同じ空の下」という意味付けがなされるのでは大きな違いがある。

 この節の最後にひとこと。「きついこと言っちゃってごめん」と涼香があいねに謝る場面がある。ここであいねが涼香に対して一言でも「察せなくてごめんね」と言ってくれれば印象は違ったのになという気はする。まあ、涼香が拗ねていただけ…という話なんだけど、少しもやっとする。こういうこと考えちゃう自分の陰キャの性分が嫌ですね。

『ラブミーティア物語』の読みをめぐって

「色白、敏感肌」のみお、同年代の男子に免疫が無い。azatoi。

 能登かがみは『ラブミーティア物語』神城カレン編第四巻第六章「伝説の誕生」を即座に言い当てることのできる猛者だった。ここで感じたのは、『ラブミーティア物語』を読み込んでいる者同士でも着眼点、読み方は異なりそうだな、ということ。一方では「フレンズ」の結成に焦点を当てることもあるだろうし、他方では「メイク術」の秘訣を探ろうと手に取ることもあるだろう。 

 『ラブミーティア物語』はアイドルを目指す、またはスタッフを目指す子たちにとってのチガカワを惹起させる媒体だと思う。上記の話だけだと、本の読みなんてそんなものだろうと思われるかもしれないが、正史、ひとつの正解やノウハウではなく、素敵な嘘、「物語」として流通しているからこそ、多層的な読みと夢の可能性が孕まれているようにも思う。(むろん、素敵な嘘自体の是非はあるだろうし、また物語の多層的な読みや着眼点が「トンデモ」に陥っても仕方ない、という身も蓋もない話もあるだろう。)

 

その他

:仕事が詰まってる中でもオープンキャンパスに駆り出されるピュアパレットとハニーキャット。搾取だ……。
:ベイビーパイレーツの話が出てもきょとんとしているあいね。情報・データとしてのアイドルには関心が無いのか。
:あいねが涼香の「たいしたことない」を肯定する場面。ある意味では客観的だとも言えるし、口喧嘩は買わないという彼女なりの防衛策にも見える。ハニーキャットがベイビーパイレーツと売り言葉に買い言葉でばちばちやっていたのとは対照的かもしれない。
:ケンさん、たまきさんのやりとり
ケンさん「嬉しいね。みんながどんどん素敵に変わっていくのって。」
たまきさん「ええ。この仕事の醍醐味ですね。」
ぼく「女児アニ視聴の醍醐味ですね(メガネクイッ」

:ダイナミックスイカ割り。もったいないよ。夜のパーティでおいしくいただ
きました。

*1:「わたしは異色 わたしだけでいい それもとても大事なアイデンティティ

*2:みお母が「学校に行くのがますます楽しそうで」とあいね母に言っていたが、「ますます」というのに引っかかった。あいねと出会う前は楽しそうにし ていたのか?