『アイカツフレンズ!』第16話「みお、勇者になる」感想(メモ)

 

 やはり、序盤でベストフレンズレアドレスのオリジナルデザインづくりをみおに任せきりにしていたところは、初見の段階で気になった。

 みおが難しい顔をしているのを察し、励まし肯定するあいねは、内助の功に徹している。しかしながら、あいねの「みおちゃんらしい」という励ましはみおが求めていた言葉ではなかった。

 あいねは「これくらいしかできない」と謙虚に支える姿勢を見せているが、やはりまだみおに対して追いついていない、追いつかなきゃという感覚が抜けていないように見える。

 デザインづくりに何が足りないのだろうか?なぜビッグバンを起こせないのだろうか?ハニーキャットのようなぶつかりあいが足りないが故にビッグバンを起こせないのだろうか?

 学園の中庭のベンチでみおは、ハニーキャットの二人を見ながら、「ぶつかりあいたい」気持ちに気づきかけていたのではないかと邪推してしまう。でなければあのような「ハッ」とした顔はできないのではないか。実は物足りなさに気づきかけていたはずなのに、その物足りなさを解消できるための最短ルート=回り道に思い至らず、デザイン画を重ねながら理詰めで克服しようとしてしまう。

 

 ところで、「ビッグバン」とは宇宙の始まりの大爆発を意味する(ココちゃん調べ)。デザインのビッグバンは起こせないかもしれないが、あいねにとってのビッグバンの原体験が何であったかには思い当たるふしがあり、ミステリーツアーが決行される。 

 「あいねはたまに私たちが想像つかないことを考える」とたまきさんは言うが、あいねの中では論理が一貫しているように思う。少なくとも、フレンズとしてのみおに自分の原体験を知ってもらいたい、そうすれば何か手がかりが見つかるかもしれない、といったところだろうか? 

 さて、二人で回り道をしながらたどり着いた場所は、あいねに最初の「ビッグバン」をもたらしてくれた思い出の場所であった。

 幼少期のあいねは元々引っ込み思案・内気で、河原で石積みをしているような子であった。そんなあいねがトモダチカラに目覚めた思い出の「勇者の橋」。

 バンジージャンプ通過儀礼・イニシエーションのそれと比べることもできるような橋からの飛び込みがあいねにとってのビッグバンの原体験であった。

 (友達はつくりたかったけど声をかけられなかったあいねではあるが、友達を作る必要性を感じていなかったわけではないので、元々の意志の強さみたいなものは持っていたはずで、通過儀礼を通してその意志が実体になったと言えるだろうか。)

 「新しいドレスでピュアパレットにビッグバンを起こしたい。」

 この飛び込みは、みおにとっての「ビッグバン」だけでなく、あいねにとっての二度目のビッグバンでもある。

 あいねは一度目のビッグバンによって広く友達をつくること、自分の力で世界を切り開くきっかけを作った(その後の友達作りマニアは若干水道の蛇口を開けっ放しな感はあるが。みおに「あのアルバムとか作っちゃうあいねが」と若干イジられている)。そして二度目のビッグバンは、ピュアパレットによって世界を切り開いていくきっかけとなった。

 みおも川に飛び込むことによってドレスづくりに足りないものを見つけた。それが「【あいね】よ」である。「二人で一緒につくりあげたいの。」なんか、ゼクシィ買ってこようかと思った。たまごクラブの方が良いですか?

 ハニーキャットのようなぶつかりあいとまではいかないまでも、意見が欲しかった、二人で考えたいというささやかだけども大きな提案をあいねにするみお。

 山のなかで迷子になりかけた場面を見るとわかるように、ハニーキャットほどではないが、二人も考え方、行動のクセに違いがある。ただ、お行儀が良いので正面切ってぶつかることはない。

 今回、あいねとみおが惹かれ合うのは、あいね自身が元々人間関係(といっても幼少期のそれ)で悩むことがあったから、という要素も多少ありそうな気がした。


 ところで、みおにとってのビッグバンは、大爆発というイメージが実はしなかった。すでに中庭で答えに近づいていたのだけど、その答えを川のなかでクールダウンして整理して導き出したという感じがした。そして、みおを導いてくれたのは他ならぬあいねの手であった。

 ここからは話外の妄想になるけれど、みおにとってはまず、あいねとの出会いがあり、次に15話のようなクラスメイトとのかかわりが生じた。そういう意味では人間関係に盆と正月が一度に来たようなもので、良い意味で頭を冷やす時間になったのではないかという気もした。

 橋から飛び込むという意味でのビッグバンは経験していないけれど、すでにあいねとの出会いが一度目のビッグバンであったことには変わりはないと思う。だから、ピュアパレットにとってのビッグバンをシームレスに足並みを揃えて経験できた。

 

  最後に、川に飛び込む場面をケン・マユズミが遠くから撮影していたわけだけど、「なぜ川に飛び込んでいるかわからない」。これは本当だったら我々には知りえないことだと思う。あの川に飛び込むときの一瞬のきらめきと、入水してからつながりあう二人のことは、あの二人にしか本当ならわからないはずなのだから。さらには、ドレスを見ながら「あの日の水しぶきを思い出す」って……吐血。


その他


:相変わらず博識なみお。なんか、理学部とか農学部とかに進学してほしい。
:あいねとみおの体付き比べるとみおの細さが際立つ気がした。みお……。
:プロポーズ(11話)⇒親への挨拶、結婚(12話)⇒新婚旅行(16話)
:あいねの石積みは、賽の河原を思い浮かべてしまう。作っても作っても崩れてしまう、人間関係にうまくいかない様子を表している?また、賽の河原は子供の死を想起させる。山登りも、川への飛び込みも、結構無茶をやっていることに変わりはない。フレンズとして生きていくのは命がけ。川に飛び込んだときにピュアパレットは一度死んで生まれ変わったのだ(違う)。
:この木登りのあいね脚が印象に残っている(引用ということでご勘弁)。

f:id:dieinselisland:20180728045149p:plain