『ヤマノススメ おもいでプレゼント』(2017)感想――ひなたの視点であおいの生きる時間を見ること

 

はじめに

 割とつらい日々を過ごしている。本来やるべきことと毎日のルーティンの狭間で苦しんでいる。最近ろくにアニメを見ていない。実はウマ娘最終話も見ていない。ひそねとまそたんは2話ほど溜めている。ちなみに前クールだとよりもいを最後の3話溜めたままである。来月、再来月に消化したい。視聴を「消化」という言葉であらわす時点でもうなんだかなあという気がする。

 どうでも良い近況おわり。ヤマノススメ おもいでプレゼントを見た。サードシーズンがこの夏から始まるということでとても楽しみにしている。いくつか感想を残しておきたい。以下、公式サイトよりあらすじを引用*1

 

「Present1 夏 ここなの8/31」
8月31日。夏休みの最後に、大好きなお母さんとおでかけの約束をしていたここな。

ところが急な仕事が入ったお母さんはここなと一緒に出かけられなくなってしまい、ここなはひとりで飯能の街を散歩することにする。

その道すがら、ここなはふと、幼い頃にお母さんと一緒に過ごした日々を思い出して……。

 

「Present2 秋 ひなたの10/28」
天覧山に、高尾山、三ツ峠!」これまで登ったいろいろな山と、おもいでが詰まった写真を見ていたあおいとひなた。

ふと、あおいの部屋にあった宝箱を開けてしまったひなたは、手作りで不格好のアクセサリーを見つける。

それをきっかけにひなたは、あおいと一緒に過ごした、幼いある日のことに思いを馳せる――。

 


Present1 夏 ここなの8/31


 ここなとここな母(麻衣)が慎ましくも仲睦まじく暮らしている様子を再び見ることができる。忙しいなかでも麻衣がここなを大切にしていることが伝わってくる。

 ここなと麻衣で仲良くお風呂(例の風呂)に入る場面があった。麻衣の前ではあおい達に対する振る舞いとは異なる振る舞いを見せる(口調など)、ある意味では素のここなの姿が映っている。

 少し気になったこととして、あのくらいの歳の子は母親と一緒に風呂に入るものなのだろうか?それくらい結びつきが強いことを表しているのだろうか。それとも、二人でお風呂に入った方が節約になるという理由があるのだろうか。

 その他、気になった点について箇条書き。

  • ここな家の広さとひなたの部屋一緒くらい?ひなたの部屋の方が広い?
  • ここなが飯能を散歩している際の広角レンズ、魚眼レンズが印象に残った。(広角レンズ、魚眼レンズってなんですか?)
  • 「バームクーヘンなんて久しぶりです。」「久しぶりです」芸だ……うっうっうっ。

 

Present2 秋 ひなたの10/28


 OVA2話では、あおいとひなたの馴れ初め、幼少期の思い出話が展開されているのだが、それだけではない。幼少期の別離とプレゼント(どんぐり)の交換というエピソードが下地となり、高校での再会が描かれている。

 あおいとひなたの高校での再会は、ヤマノススメ1期1話でも描かれていたと思うけれど、それについてはひなたがインドアあおいを引っ張り回す……という流れしか自分の印象に残っていない。あおいにとってのひなたは「余計なことをしでかすやつ……」であり、悪印象からの二人の再出発であった。

 OVA2話の特徴は、高校に入学して久しぶりの再会となった二人を、ひなたの目線から描き直している点にあると思う。

 二人が教室で再会する前に、ひなたは入学式のクラス分け名簿が張り出された掲示板であおいの名を見つけており、再会に胸を膨らませている。この点は1期2期では描かれなかった(小さな)エピソードである。

 同じイベントでも、登場人物は同じ行動をするわけではないし、同じ意味づけをするわけではない。だから、ひなたとあおいの細かな行動の違いを比べてみるとおもしろいかもしれないと思った。というのも、あおいはひなたのことをすっかり忘れてしまっているというオチがついており、入学式でひなたの名を意識することは無かったと想定されるからである。

 ヤマノススメを視るときに、自然とあおいをメイン格に捉えて、山登りを通して彼女がたくさんの人と出会い、どのように成長していったか、成長とは言わないまでも、どのように変わっていったかということを念頭に置いてしまう。基本的な軸は1期も2期も変わらないと思う。OVAでは、OVAならではというか、あおいの生きる時間を、ひなたの目線から捉え返すとどのように見えてくるのか、その一端を見ることができたように思う。


 そういえば、考えてみれば、ひなたにとっては空白の数年間があるのだということに気付かされた。(あおいに「空白の数年間」があるにしても、性質が違う気がする。)普段は陽気に振る舞っていて、アッケラカンとしているように見えるひなただけども、個人的には実は「重い女」なのではないか、という気もしてきた。(友達思いで情に厚い性格を拡大解釈しすぎる良くない例。)

 

(2018/7/25 エントリータイトルを修正。)